Q1. 脊柱管狭窄症に効果がみられるまで、どのくらいの期間が必要ですか?

脊柱管狭窄症に限らずに、背骨を支える筋肉が弱くなっている腰痛に対してコアヌードルのトレーニングは適しています。まず4週間は力を抜いてトレーニングを続けることをお奨めします。痛みのでない範囲で行ってください。

書籍「脊柱管狭窄症をトレーニングで治す」の 第七章:腰痛からの卒業者 に、実際に腰痛を克服された方々の背景とそれぞれの取り組みについて記載されています。そちらをご参照頂けましたら、いろいろなケースでのイメージがつきやすくなると思います。

Q2. コアヌードルとストレッチポールの違いを教えてください。

  • 背骨の両側に2列のコアヌードルがフィットしますので、背骨に直接あたって痛いと感じることはありません。

  • コアヌードルの約6cmという高さは、腕や太ももの重さを床に分散させ、力まずに仰向けストレッチにフォーカスすることができます。

  • 背骨の自然なS字カーブを寝て調えることができます。

  • ​特有の不安定さが、背骨を支える深層筋肉と空間知覚を刺激して有効化します(促通効果)。

■コアヌードル

直径は約6cm、2列で背骨の突起を両側から支える形状です。コアヌードルは柔らかく重心の集まるところが沈んで圧を分散します。

コアヌードル,ストレッチポール,違い

首筋が楽に伸ばされる

コアヌードル,ストレッチポール,違い

肩が開き、首、肩、腰が自然なライン

コアヌードル,ストレッチポール,違い

骨盤を含め理想の姿勢

コアヌードル,ストレッチポール,違い

立位でも理想の姿勢

■ストレッチポール

直径は約15㎝、硬めで重心による沈み込みはほぼありません。

コアヌードル,ストレッチポール,違い

肘の重みで肩が上がり、首筋が緊張

コアヌードル,ストレッチポール,違い

反り腰に注意が必要

コアヌードル,ストレッチポール,違い

腰が反るため、膝伸ばしは禁止

コアヌードル,ストレッチポール,違い

首、肩、腰に負担の集まる姿勢

Q3. 「腰再生5つのステップ」は、それぞれ何回くらい行えば良いのですか?

■ステップ1:腹式呼吸とともに力を抜く

腹式呼吸をしながら介の字ストレッチです。少なくとも5分は行いましょう。

腹式呼吸に合わせて腹横筋を締めるトレーニングはコアヌードル無しでも行うことができます。可能な限り四六時中いつでも意識して行ってみましょう(参考書籍:脊柱管狭窄症をトレーニングで治す、参考動画:初めてのコアヌードル02:筋緊張を取り除く)。

【行うタイミング】

  • 長い時間同じ姿勢をしたあとに

  • 帰宅後、運動後、就寝前などに

【習得の目安】

  • 日々の違い(肩の丸まりや腰の反り具合など)が、毎日続けると認識できるようになります。

  • 介の字ストレッチのままうたた寝できるくらいになると、力が抜けてリラックスできているようです。

  • 数週間~数ヶ月続けることで、徐々に習得される方が多いようです。

■ステップ2:背骨を支える筋肉をONにする

【回数】

  • 10回~20回を1セットの目安として数セット行いましょう。

【ポイント】

  • 軽めの負荷でやや多めに(腹部を意識することが重要です。無理に脚を上げる必要はありません)。

  • 使いにくくなった筋肉の感覚を取り戻すことで、背骨まわりの筋肉を活性化します。

【注意事項】

  • 運動中、体が丸まったり腰が反ったりしないこと

  • 運動中、痛みや違和感がでないこと

【腰が痛くなった場合】

  • 腰を反らせている(特に手足の上げ下ろしの際)

  • 勢いや反動をつけて行っている

  • やり過ぎ

  • 余計な力が抜けていない ⇒ ステップ1に戻る

■ステップ3:股関節と胸椎を動きやすく

【回数】

  • 片側5回くらいを1セットとし、それぞれ7秒程度かけゆっくりと腹式呼吸にあわせて行います。

【注意事項】

  • 運動中、体が丸まったり腰が反ったりしないこと

  • 運動中、痛みや違和感がでないこと

【腰が痛くなった場合】

  • 腰を反らせている(特に手足の上げ下ろしの際)

  • 勢いや反動をつけて行っている

  • 余計な力が抜けていない ⇒ ステップ1に戻る

■ステップ4:背骨のGPSセンサーの機能回復

背骨のS字カーブを本来の姿勢に保ちながら空間知覚を刺激し有効化することが目的です。慣れるまでは小さな動きを多めの回数で行います。

【はじめに】

  • 体の中心線を再認識します。コアヌードルの上に仰向けになりボールをお腹の上に乗せます。ボールを落とさず、手足を体の中心から遠くへ離して戻して、伸ばして縮めてを繰り返します。

  • ボールをお腹から落とさずに動作できるようになったら、いよいよ本格的なGPSセンサーの再教育に進みます。

【行う回数 / 難易度】

  • 10回~20回を1セットの目安とし、複数回行います。

  • 体の中心線から左右に遠ざけたり、手足の伸ばすことで難易度を高めます。

【注意事項】

  • 運動中、体が丸まったり腰が反ったりしないこと

  • 運動中、痛みや違和感がでないこと

【腰が痛くなった場合】

  • 腰を反らせている(特に手足の上げ下ろしの際)

  • 勢いや反動をつけて行っている

  • 余計な力が抜けていない ⇒ ステップ1に戻る

  • 背骨を支える筋肉が使えていない ⇒ ステップ2に戻る

■ステップ5:筋膜を整える

ストレッチの動作を、ゆっくりと腹式呼吸に合わせて行います。

【ポイント】

【注意事項】

  • 運動中、体が丸まったり腰が反ったりしないこと

  • 運動中、痛みや違和感がでないこと

【腰が痛くなった場合】

  • 腰を反らせている(特に手足の上げ下ろしの際)

  • 勢いや反動をつけて行っている

  • 余計な力が抜けていない ⇒ ステップ1に戻る

Q4. 「腰再生5つのステップ」で、ステップアップする基準を教えてください。

■ステップ1 ⇒ ステップ2

「力を抜く」ことが出来ているか客観的に判断することは難しいため、ご本人が自身の体の状態に気付くことが大切になります。慢性腰痛の方々にみられる特徴として、長い期間、体に負担の大きい使い方を続けていることで、その使い方が普通となり、本来の負担の少ない身のこなしや動作ができなくなっています。

ここでは ”力の抜けた状態” に気付くことができるかがポイントになります。

床に仰向けに休む 足は肩幅くらい開いて、手のひら上向き

①床の上に仰向けに休む。手のひら上向きで、両腕は脇から少し離す。

腰の反り具合、左右の肩や肩甲骨、お尻、ふくらはぎ、踵と床のつき具合を調べる

➁下記4項目をチェックする

  • 腰のくぼみに手のひらを入れ、隙間がどのくらいあるか(反り具合)

  • 両肩、両肩甲骨の床へのつき具合(浮き具合、左右差)

  • 左右のお尻、仙骨の床へのつき具合(浮き具合、左右差)

  • 左右のふくらはぎ、両かかとの床へのつき具合(浮き具合、左右差)

コアヌードルの上に介の字に休む

➂コアヌードルの上に介の字で休む。腰に痛みや違和感がなければ、ゆっくりと腹式呼吸をしながら5分程休む。

再び床に仰向けに休み、体の背面と床とのつき具合を調べる

④再び床に仰向けになり、先ほどの4項目をもう一度チェックする。体の背面全体が床にべたっと吸い付く感覚があれば、筋緊張が弛んで力が抜けていると判断する。

■ステップ2 ⇒ ステップ3、4

背骨を支える筋肉の有効化・活性化は、ステップ1の四六時中行う腹式呼吸ができていると、ステップ2はあまり時間がかかりません。下記の手順でチェックしてください。尚、30秒以上コアヌードルから落ちずに静止できればステップ2は卒業です。ステップ2を卒業すると、次のステップ3とステップ4は同時に行うことができます。

①コアヌードルの上に膝を曲げて休む。

➁片膝ずつ水平に引き上げる。

➂両膝は閉じる。

④片腕ずつ上げて胸の上でクロス。この姿勢で30秒キープする。

■ステップ3,4 ⇒ ステップ5

ステップ5は、全身を一つの膜と捉えて行うストレッチになります。メンテナンスとしては、痛みやしびれ、違和感のない良い状態を保つために行います。この場合、ステップ3、4のトレーニングで様々な症状が感じなくなった際にステップ5に進みます。

Q5. 「腰再生5つのステップ」の各ステップは順番に進まないといけないですか?

”背骨を支える筋肉が使えている状態” でしたら、どのステップも同時に行うことができます。ですが実際には、脊柱管狭窄症などの慢性腰痛の方は、本能的に痛みの少ない体の使い方が癖となって体に染みついているため、多裂筋などの背骨を支える筋肉が使えなくなっている場合がほとんどです。書籍「脊柱管狭窄症をトレーニングで治す」のP129に記されている多裂筋の使えない状態は、実際に多く研究でも報告されています。

実際に多裂筋が使えているかは、下記の方法で確認することができます。

コアヌードルで多裂筋をテスト

①コアヌードルの上に仰向けに休む。両膝を閉じ、両手を天井に向けて前にならえ。

※腰に違和感がある場合は、膝を立てて行う。

コアヌードルで多裂筋をテスト

➁片方の手を外側にゆっくりと倒し、床の手前でストップ。

肘は伸ばしたまま、​腰を反らないこと 。

コアヌードルで多裂筋をテスト

➂反対の手も同様に行う。

上に残している手は、外に開かないように注意する。

  • 左手を倒すとバランスが崩れる ⇒ 右側の多裂筋に委縮の疑い

  • 右手を倒すとバランスが崩れる ⇒ 左側の多裂筋に委縮の疑い

このテストでコアヌードルから落ちてしまう場合は、多裂筋が使えなくなっているため他の筋肉での代償動作が普段から行われています。代償動作で過剰に反応している筋肉を鎮めるためには、ステップ1の「力を抜く」の練習が必要になります。

Q6. どの腰痛にもコアヌードルは使えますか?

コアヌードルは、背骨の不安定性が関わる腰痛に特に適しています。具体的には脊柱管狭窄症、変性すべり症、変形性脊椎症、椎間関節症、椎間板症腰椎分離 / すべり症、椎間板ヘルニア、座骨神経痛などがあたります。

逆に、コアヌードルが適さない腰痛には、骨粗しょう症や骨折、悪性腫瘍、脊椎感染症、解離性大動脈瘤、広範囲に神経障害を及ぼす馬尾症候群などがあります。それらは腰痛の「レッドフラッグ」として分けられ、医師の診察が必要なものとして分類されます。その中でも、特にじっとしていても脂汗が出るほど強い痛みがある腰痛は、生命にかかわる重大な疾病の可能性があるため、急ぎの対応が必要です。

腰痛,レッドフラッグ,コアヌードル
腰痛レッドフラッグ,コアヌードル
腰痛レッドフラッグ,コアヌードル

Q7. コアヌードルの上に休むと、最初は痛みが出るものでしょうか?

通常、痛みがでることはありません。大の字ストレッチのように、膝を伸ばしてコアヌードルに仰向けに休む場合、骨盤が床に対して平行に保てない方は、稀に痛みを起こすことがあります。コアヌードルの高さが6cmと低いのは、骨盤を床平行に保ちやすいからです。痛みが起こる場合は原因を見つけ、痛みのでない方法でコアヌードルを利用することが大切です。

■コアヌードルを使って痛みがでる要因

  • 膝を伸ばすとき、腰が反っている(一般的にすべり症と脊柱管狭窄症では禁忌事項)

  • 筋緊張による代償動作を無意識に行っている(過去の腰痛が影響していることが多い)

■身体的要因

  • 股関節の前面の筋や腱が縮まっている

  • 骨盤と背骨を支える筋肉が弱まっていて、動作中に姿勢を保つことができない


原因を切り分けるため、コアヌードルに仰向けになる際は膝を立て、腰を反らない姿勢で痛みがでるかをお試しください。

原因を切り分ける

※開始 3:55 頃から説明しています

  1. コアヌードルを縦方向に置き、両膝は立てたまま仰向けに休む。両足は肩幅くらいに開く。

  2. 両手で握りこぶしを作り、コアヌードルを両側から挟むように左右のお尻の下に入れる。※グーを入れることで、骨盤が床平行に保たれる。

  3. 片膝ずつゆっくりと伸ばす。

  4. 痛みがでないようなら、お尻の下においた左右の握りこぶしをゆっくり外す。

  • 片脚ずつ膝を伸ばす際に腰が痛む

  • お尻の下の握りこぶしを外す際に腰が痛む

もしこれらの2つの症状が起こる場合は、股関節の前側が縮んで硬くなっているか、背骨と骨盤を支える筋肉が弱くなっているか、若しくはその両方が原因で反り腰となっています。

※本来はグー無しで脚を伸ばしても、骨盤は床平行のまま保てなくてはいけません。それができない人は、歩く際でも、一歩一歩踏み出すたびに反り腰を繰り返している可能性があります。

反り腰にさえならなければ痛みが起きないようなら、いよいよ腰再生のステップ1「腹式呼吸とともに力をぬく」に進みます。

腰再生ステップ1:腹式呼吸とともに力をぬく

腰痛には腹式呼吸で筋緊張をとる

①コアヌードルを縦方向に置き、仰向けに休む。

腰痛には腹式呼吸で筋緊張をとる

➁腰に痛みや違和感を感じるときは、太もも付け根の下にクッションなどを入れる。

腰痛には腹式呼吸で筋緊張をとる

➂腰の反らない姿勢で、ゆっくりと深い腹式呼吸を繰り返す。

腰痛には腹式呼吸で筋緊張をとる

④腰に痛みがでなければ、日にちをかけて、徐々に太もも下のクッションを低くしていく。

腹式呼吸とともに行う目的

  • 腹横筋を徐々に活性化する

  • 酸素を全身に送り筋の緊張を少しずつ緩める

  • 痛みを緩和する物質、セロトニンを発生させる

※全身の筋緊張が抜けないと、ステップ2~5に進むことができません。筋緊張の状態でストレッチやトレーニングを行っても代償動作を行い、別の痛みを引き起こす恐れがあります。


Q8. すべり症です。コアヌードルを使用する際の注意点を教えてください。

すべり症には「腰椎分離すべり症」と「腰椎変成すべり症」がありますが、どちらも背骨が不安定な状態で椎骨が脊柱管のほうへ滑り、神経を圧迫することによって症状が現れます。コアヌードルを使う際は、最初に体の筋緊張をとるために腹式呼吸(腰再生ステップ1)、背骨を安定させるための運動(腰再生ステップ2)を、痛みや症状のでない範囲で行ってください。

どちらのすべり症でも、腰を反るとしびれや痛みが増す傾向にあります。僅かな腰の反りでも症状を悪化させますので、十分に注意して丁寧な運動を心がけてください。特に両膝を伸ばす際に腰を反らしてしまいがちですので、仰向けでコアヌードルに休むときは、まずは両膝を立てた状態からスタートしてください。

コアヌードルの上に休むと、最初は痛みが出るものでしょうか?」の質問もご参照ください。

Q9. コアヌードルは、バスタオルを丸めたものでも代用できますか?

代用品ではコアヌードルの特性が再現できないため、別物としてお考えください。その主な理由は以下となります。

1. 運動中も背骨のS字カーブを正しく保つこと

背骨のS字カーブを整えたまま、背骨を支える筋肉を刺激し活性化することがコアヌードルの大きな特徴の一つです。「ニュートラルポジション」とも言われ、腰が安定し最も負担の少ない本来の姿勢です。運動選手が瞬時に素早くプレーにはいる際の姿勢でもあることから「アスレチックポジション」とも言われます。このS字カーブの重要性に着目し「反り腰」にも「猫背」にもならないコンセプトが、コアヌードルの安全性への姿勢でもあります。

この正しいS字カーブを動作中も保つためには、程よく沈む柔らかさ、優れた弾力性と反発性を備えた素材が必要不可欠となり、コアヌードルの製品化に最も時間を要した課題でした。これらの必要不可欠な特性はバスタオルで再現することは難しいと考えています。

2. 背骨のGPSセンサーを正しく再教育できること

ここでいうGPSセンサーとは、空間知覚をつかさどる感覚器「固有受容器」を指します。コアヌードルは、腰痛で影響を受けた背骨まわりの固有受容器の働きを、理想的なS字カーブを保ちながら様々なバランストレーニングを繰り返し行うことで、三次元での精確な位置認識と使い方を体に取り戻します。

腰痛は痛みが治まっても、一度機能不全を起こした固有受容器の働きは自然には戻りません。不自然な動作の癖が残ることが多いため、腰痛経験者の多くが何度も腰痛を繰り返してしまう一因となります。


コアヌードルの2列の形状と、柔らかさ・弾力性・反発性による不安定性が空間知覚のトレーニングやリハビリに適していることから、理学療法としても広く採用されています。

Q10. コアヌードルは、プールヌードルでも代用できますか?

Q9の回答と同様に、代用品ではコアヌードルの特性が再現できないため、別物としてお考えください。プールヌードルは背骨の理想的S字カーブ、および空間知覚のトレーニングに最適化されたものではありません。